銃砲はオットーサイクル・エンジンの発明の原点
上記の図(シューティング・ライフ誌に、弊社代表が連載執筆した「スラッグのXYZ」より)を見ると、如何に銃砲が内燃機関の発想に役立ったか判ります。人類が初めて手にした内燃機関とも言える銃砲と 、レシプロ・エンジンには多くの共通点が有ります。ピストンは銃弾、シリンダーは銃身、点火プラグは雷管、火薬の燃焼率はオクタン価、ノッキングは爆轟(音速を超えた速度の燃焼で破壊的な衝撃波を伴う)に相当しています。映画で有名なマグナム弾も実は、ガソリンで言うハイオクタン・ガソリンに相当する遅燃性の火薬を多量に充填して、銃身や薬室に無理をかけずに、高圧から来る爆轟(デトネーション)を防ぎながら、 重い弾をゆっくりと高速まで加速する設計になっています。

これをヒントに、銃に似た構造を持つエンジンにもテフロン系潤滑剤が有効と考え、猟で使用していたダットサン・トラック4DW車のエンジン・オイルにテフロン系パウダーを混合添加しましたところ、約1年もの間、オイル交換をしなくてもエンジン・ノイズが静かな事に気が付きました。この話しを聞いた[オートメカニック誌]の松苗前編集長(当時、編集員)に興味を持っていただき、厳正なテストの結果を紙上にて紹介して頂いたのが、マイクロフロンの熱烈なユーザーさんに愛用されるきっかけとなりました。1994年頃より球晶サイズの極小化技術が実用化され、更に高品質のマイクロフロンΠにバージョンアップされました。弾丸と銃身の潤滑に有効なテフロン系パウダーのマイクロフロンΠが、レシプロ・エンジンのオイル添加剤として有効か理解できると思います。


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散弾銃用ブレネッキ・タイプ 1粒スラッグ弾


ブレネッキ・タイプスラッグ弾は。鉛鋳物製の弾頭にクッション材になるフェルト製のワッドと、尾部に高圧ガスの漏れ止めの白いポリエチレン製のガスシールがネジ止めされて一体となって発射される。このガスシールの漏れ止め効果で発射速度が約10%上がるのは、マイクロフロンΠのピストンとシリンダー壁間の漏れ止め効果と同じ。トルク計算にすると21%増大する事になります。


このスラッグ弾の威力は、1発で44マグナム3発分の威力(3000フィート・ポンド)が有りましたから、大きなヒグマも一撃でノックダウンできます。考えてみますと、鋼鉄製の銃身内面と鉛の弾の摩擦は、エンジンで言うところのコンロッド大端部のメタル(鉛、錫合金)とクランク・ジャーナルの摩擦と同じ環境ですが、従来はまったく潤滑の概念が無く、弾丸は大きな摩擦を発生しながら銃身内を加速されますので、弾丸表面が摩擦熱で溶けて銃身内部に付着、堆積していました。

弊社の前身となった現代狩猟SRCが設計したタービン状の羽根を持つブレネッキ・タイプスラッグ弾は、グリスに混合したマイクロフロンのテフロン系パウダーによる潤滑テストがされ、銃身内を秒速450メートルまで加速され発射されました。飛行中は羽根による高速回転で、狙い通り正確に軌道をトレース出来ました。    

 

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50mからブレネッキ・タイプ5射の集弾率

フランス製ブロンドー・スラッグ弾

通常弾に対してスラッグ弾は巨大だ


スラッグ弾の種類と命中率
弊社が設計したブレネッキ・タイプのスラッグ弾の空力特性とマイクロフロンのパウダーによる柔らかい鉛の弾丸の表面保護作用で、ライフリングの無い散弾銃から発射されるにもかかわらず、100メートル先(上記は50メートル)でも狙った点から数センチ以内に全弾着弾しました。この精度は、 一般的な量産ライフル銃の精度に匹敵します。ちなみに、軍用ライフルの最低要求精度は100ヤード(90メートル)で3インチ(7.5センチ)の円内に全弾着弾、恐ろしい事に3インチの円とは心臓の大きさです。

ブレネッキ・タイプは溝が深くと言うか、タービン状の羽根が付いており、オリジナルの1mmより高くして1.2mm程度まで羽根を高くしました。これにより、飛行中にさらに回転を与えられるのです。高速回転する弾は良く当たると考えがちですが、弾の重心を支点とする慣性モーメントと空気抵抗によって決まる尻振り周波数と同期すると、横転弾になってしまいます。標的にキーホールと言う横転した弾の跡が出来るのは、弾の回転による影響なのです。その証拠として、回転しない弾は命中精度が悪くても、横転しないので完全な丸い穴が開きます。

ブレネッキ・タイプは、尾部に軽量なクッション材のワッドと呼ばれる部分を脱落しない様にネジで止めているので、空気抵抗による修正力が大きく、尻振り振動数が高い特性を持っています。銃口から飛び出した時に、このワッドは変形しているので、弾の進行方向を変える舵としても働いてしまう場合があります。その為、回転させる事で進行方向を正確に保つ必要があるのと、前述の通り尻振り振動数が高いので、回転させても横転弾になりにくいのです。 北海道のエゾ・シカ猟で、このスラッグ弾は150メートルでも有効でした。この距離で到達時間は0.5秒程かかりますので、ドロップを計算してスコープのリティクルを50センチ程、上に合わせます。ブレネッキ・タイプはフランスのゲベロット社やドイツのダイナマイト・ノーベル社で製造されていました。ヨーロッパのこれらの国で製造されていた理由は、ワッドやガスシールを一体化する事で弾の重量を増せるのと、そのネジ止め用に弾頭内部に鉛の突起部を設けるので貫通力が強まるからでしょう。アフリカが近い地理的条件や、大型のイノシシが生息する猟場を抱えている関係から、大口径ライフルに匹敵する威力が必要とされていたのでしょう。

ウィンチェスターやレミントン系のスラッグ弾はフォスター・タイプと呼ばれて、尾部のワッドはネジ止めるされていないので、銃口を飛び出した後は脱落し、鉛の弾のみが飛行します。尾部にワッドが無いので、方向性の修正力が小さく、尻振り振動数は低くなります。この状態で高速回転をさせると、横転弾になってしまうので、羽根ではなくて浅い溝を切る程度にして飛行中の回転数を抑えています。主に米国でこれらの軽量なスラッグ弾が製造されているのは、製造コストの安さと獲物が小型の鹿を主なゲームとしているからではないでしょうか。

計算と実験の結果、スラッグ弾に与える適切な回転数は、尻振り振動数の1/2が良いとの結論になりました。何故なら、回転が振動を抑える様に働くからです。逆に振動数と回転数が一致すると、同期して完全な横弾になってしまうからです。

銃口から飛び出した後のスラッグ弾に変形が無ければ、回転を与えて進行方向を修正する必要はありません。何故ならば、ライフル弾と異なり重心が風圧中心より前進しており(簡単に言うと頭が重い)、空気抵抗で風見鶏のごとく、弾が進行方向に向く様に設計されているからです。しかし、柔らかい鉛で出来ている弾は、発射のショックや銃身との摩擦で変形し、飛行中に進路をずれてしまう原因を作ってしまうので、回転を与えて命中率を高める必要があるのです。

命中精度を上げるには、高速回転程有利と思ってしまいがちですが、ライフル弾と異なり滑空銃身から打ち出されるスラッグ弾に於いては、さほどの回転数は必要ありません。私が到達した計算式では、回転による集弾半径は1/2πnで求められます。 nは銃口から標的までの間の回転数です。たった1回転するだけでも外れる距離は半径で約1/6にもなるのです。ただし、それる方向が判っている場合ですから、実際には上下左右どの方向にずれるかは撃ってみないと判らないので、着弾域は倍に拡大します。




ブレネッキ・タイプであれば、尻振り振動数は計算上50Hz前後だったと記憶(何分にも25年程前の研究なので、もしかしたらフォスター・タイプの計算値かも)しておりますから、秒速400m/sとして8mで尾部を一振りします。 よって、16mでスラッグ弾を一回転させれば振動が相殺されて安定します。そうすると50m先の標的に達するまでに約3回転しますので、1/2πX3で約1/18の半径で集弾する事になります。 これは、回転させないスラッグ弾が狙点より40cmそれる癖が有っても、狙点より半径約2cm以内に着弾する事になりますが、前述の通り倍の半径で約4cm、直径で約8センチ内に着弾します。8センチ内の着弾は実猟上では充分な命中率となります。

もう最近とは言えなくなりましたが、戦後でも戦車砲にはライフル砲身に固執していた米国に対して、ロシアやドイツのラインメタル社によって滑空砲が開発されました。その理由は、猟銃でもライフリングによる抵抗が無い、散弾銃の滑空銃身が使えるスラッグ弾の方が高速が出せると考えていた通りです。実際、ボルトアクション・ライフル銃から410番に改造したスラッグ銃と、世界初めてと思いますが、当時試作した410番ブレネッキ・タイプのスラッグ弾(当初キーホルダー用アクセサリーとして作った)で軽く1000m/sを超えていました。

戦車用滑空砲では変形の心配の無い、タングステン・カーバイト製の棒状の有翼弾ですから、あまりスピンをかけると横転するなあと推測をしておりましたが、まさにその通りで、羽根のピッチは0度から、せいぜい1.5度となっていました。これは、滑空銃身から打ち出すスラッグ弾の研究をしていたからこそ解る事なのです。

浅間山荘事件によってライフル規制が始まった直後に大物猟を始めた関係上、大型のイノシシを倒すのにスラッグ弾の改良に情熱を燃やす青春時代を過しました。最初に参考にした外国製のスラッグ弾は、米国製のベンコ・ビット弾やフランス製のブロンドウ弾でした。ベンコ・ビット弾は、通常の12番散弾銃からアフリカ象を含むビッグ・ファイブを倒せる威力のある超弩級575グレーンのスラッグ弾でした。その銃口エネルギーたるや、発射されてから100m飛んだ458win弾と同等と物凄い威力でした。 このスラッグ弾を頑丈な検速圧銃身から発射した事がありましたが、初速500m/s以上出せましたので458winのマズル・エネルギー並みになりました。勿論、通常の12番散弾銃から初速500m/s以上で撃てば、反動で射手は後方へ吹っ飛んでしまい、薬室の耐圧不足で危険この上ないのは間違いありません。400m/sを少し上回る実包を5発ロードして、西富士射撃場にて50mでの命中率テストした事がありましたが、あまりの反動の強さに3発目で諦めた経緯のあるツワモノです。

また、ブロンドウ弾は糸巻き状の鋼鉄製本体のフランジ円周部に、銃身を痛めない様に鉛のバンドをはめたもので、獲物との間に木が有ろうが無かろうが、ともかく引き金を引けと言うトンデモナイ代物でした。途中の木立なんか簡単に貫通して獲物を倒せる弾なんですが、流石にアフリカに植民地を持つフランスだけあるなあと思っていました。

スラッグ弾の開発をしていた時の楽しい仲間は、現在でも射撃関係で活躍しているのを聞いて嬉しく思います。当時、「シューティング・ライフ誌」にスラッグのXYZを書いた時のテーマの空力解析を手伝ってくれた大学生の滝田氏、ブレネッキ・タイプのスラッグ弾の金型の基本構造を考えてくれた木型屋さんの飯田氏、ボルト・アクションライフルを410番に改造したスラッグ銃と私の作ったキーホルダー用アクセサリーのブレネッキ・タイプのスラッグ弾を1000m/s以上に加速するのに情熱を燃やしていた黒柳氏(現在はキング・クラフト社を経営)。同時期に射撃場で良くお会いした、ファスター・タイプ一本で頑張っていた大石氏。伊勢原の射撃場で、お互い良く存じ上げないのにも係わらず「命中率を決定付ける要因は難しくて、簡単には解らない」と意気投合した築地氏。また、その脇で、銃の専門家と弾の専門家が、「的に当てるのは難しい」と変に意気投合していると呆れていた仲間達。本当に楽しい時代だったと思います。

青春時代にめぐり合った素晴らしい仲間と過した経験が、現在の弊社のオイル添加剤の技術のスタート点になった事は、私にとっての最大の幸せだったのです。 そうそう、私に通販事業のイロハを教えていただいた現代狩猟の伊藤氏は、残念ながらすでに亡くなられています。私の様な不詳な弟子が、業界は異なっていても、何とか20年以上、仕事を続けられているのも師匠の指導のお陰と感謝をしております。

 

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