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<2012/5/10>一昔前のエンジンの技術競争と言えば、限られた排気量から如何に大馬力を出すかであったが、昨今は戦争中の合言葉であった「ガソリンの一滴は血の一滴」のことく、一滴のガソリンでどれだけ車を走らせるかに変わってしまった。

その究極の研究成果がハイブリット化だろうが、従来型のガソリン・エンジンでも涙ぐましい努力がなされている。 勿論、エンジンその物の構造には大きな変わりはないが、細部を見ると従来の概念が通じなくなっている所もあり驚きを禁じえない。

そもそも、大昔のガソリン・エンジンが直面した大きな技術的課題とは、その大きなオイル消費量であった。初期のガソリン・エンジンのシリンダ内壁には、ホーニング加工によって出来るクロスハッチと称される細かい油溝が無かった。 その為にオイルの消費量が著しく、数百kmの走行で1Lのオイル消費は普通であった。 その対策としてピストン・リングの張力を大きくし、シリンダ内壁に付いたオイルをカキ落とす作用を強めたりしたが十分ではなく、遂にはシリンダ内壁に細かい油溝を沢山刻むアイデアが登場し、劇的にオイル消費を低減する事が出来た。

この発明によってオイル消費を低減しただけでなく、シリンダ内壁とピストン・リングの摩耗を防ぎエンジンの寿命も格段に伸びた。しかしピストン・リングの大きな張力とホーニング加工のコンビは、大きな摩擦力を発生させる事にもなった。ガソリンが湯水のごとく使えた時代では問題にならなかったが、ガソリンの高騰と環境問題の高まりで、ガソリンの一滴は血の一滴となり、自動車メーカーはエンジン内部の摩擦低減に血眼にならざるを得なかった。

そこで問題になったのが、大昔はガソリン・エンジンの救世主になった技術が摩擦抵抗の大きな要因となっている事であった。 大切な油溜めのクロスハッチの摩擦抵抗を如何に低減するか、そこで登場したのがプラトー・ホーニングであり、一昔前まではレースで使われていた秘密技術であった。 プラトー・ホーニングは、一度荒目なホーニングを掛けたシリンダ内面を再度研磨する事で、クロスハッチの山の頂上を削り取り平面な頂上を作るのである。 量産エンジンのプラトー・ホーニングは、通常のホーニングに再度研磨を掛けるのでホーニングの溝がかなり浅くなっている。 走行距離の増大したエンジンのホーニングの網目傷は自然とプラトー・ホーニングになってくるので、わざと慣らし運転を行っている事になるのだろうか。 一昔前では6万km程走行した車の方が新車よりパワーが出てくるのは、クロスハッチの山の頂上が削れてプラトー・ホーニングになってくるのが理由の一つかもしれない。

ピストン・リングの張力も摩擦抵抗の原因となるので、現代の省エネ型エンジンではピストン・リングの張力をかなり弱めている。 何の事はない現代のエンジンは、ピストン・クリアランスを狭めた以外は昔帰りをしているのであり、せっかく半永久的な寿命を獲得した内燃機関ではあったが、その耐久性も昔帰りをしているのである。 エンジン・オイルの粘度もエンジンの内部の抵抗の要因となるので、0w−20と言う極低粘度なオイルも登場した。 この様な極端な低粘度のオイルは燃費改善には役立っても、油膜は薄くなり摩耗や焼き付きのリスクは勿論高くなる。 エンジン・オイルに含まれる亜鉛系添加剤もSMクラスより排除され、エンジン寿命より環境が優先されている。

「ガソリンの一滴は血の一滴」とは、人間の生命より戦争に勝つ事が大事だった戦争中の合言葉であったが、現在はエンジン寿命より燃費が大切な時代なのである。 何か昔も今も、単語が入れ替わっただけで本質は何も変わらないと感じるのは当方だけであろうか。                        



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