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ガソリンが著しく値上がりしている昨今、燃費改善はてとも大事な課題となってきた。これを買って装着すれば、燃費改善2割、3割とのキャッチの エコ・グッズが大流行であるが、単品のエコ・グッズでの燃費改善が如何に難しいか説明したい。また、具体的な燃費改善について科学的な考証をしてみますが、 途中のエンジンの熱力学関係は難しいので、飛ばして結論部を読んでいたたいても結構です。
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 バイオ燃料に興味のある方は、てんぷら油からディーゼル燃料の作り方をご覧になってください。
 ル・マンに続いて、F1にもディーゼル・エンジン搭載の動きがあるとのニュースが弊社に入りました。F1ですら、環境問題を無視出来ない時代に入った様です。今後10年間、従来通り人類が二酸化炭素を排出すると地球の平均気温が2℃上って、後戻りできない破壊的な環境になるのだそうです。


左の図はガソリン・エンジンの熱勘定で、 燃焼させる燃料が発生するエネルギーから、動力を取り出すまでの間に浪費するエネルギーの形態と割合を示したものである。 これから判る通り、燃やしたガソリンから発生するエネルギーの殆どは、高温の排気ガスと冷却水を暖めて逃げてしまい、利用できる動力としての熱効率は最高値でも30%(実質的には28%辺りが限界)である。

40km/hで走行している車の走行抵抗(車種にもよるが消費馬力で5PS前後)とエンジン内部の摩擦抵抗は同等と言われている。 エンジン内部の摩擦損失は数%程度なので、その摩擦抵抗を低減しても走行抵抗を低減しないと、燃費改善率は半分になってしまう。

自動車メーカーは日夜、燃費改善に取り組んでいるが、ここに燃費改善の難しさがある。2割、3割の燃費を改善するには、エンジン内部の摩擦低減だけではなく、圧縮漏れ防止や駆動系の伝達ロス低減等、総合的に行わなければ実現不可能である。

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確実な燃費改善を理解するのに、まず内燃機関の基本的な熱力学を勉強してみよう。

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まず、エンジンなるものが、燃料の燃焼エネルギーをどうやって動力エネルギーに変換しているか説明したい。

上記のグラフはガソリン・エンジンとディーゼル・エンジンの基本的概念を表している。オットー・サイクルはガソリン・エンジンで、ディーゼル・サイクルは、ディーゼル・エンジンの作動原理を表しているが、あくまでも理論的な考えなので実際とは若干異なる場合がある。

オットー・サイクルは、あらかじめガソリンと空気が混じった混合気を吸入するので、圧縮行程終(ピストン上死点付近)の2で点火プラグにて着火され、燃焼圧力が瞬間的に立ち上がっている。ディーゼル・サイクルでは、空気のみを吸入して圧縮行程終わりから膨張行程に移る時に燃料を噴射するので、ピストンが下りはじめても燃料の噴射が続いて燃焼するので、燃焼圧力は暫く一定である。

両図を比べると、曲線で囲まれた面積はオットー・サイクルの方が大きいので、ディーゼル・サイクルより熱効率は高いが、現実問題、混合気を圧縮するので異常燃焼が発生しやすく圧縮比を高くとれない。ディーゼル・サイクルは空気のみを圧縮するので、圧縮比を高くできて熱効率を改善できる。実際のエンジンでは、ガソリン・エンジンの熱効率は30%以下に対して、ディーゼル・エンジンでは35〜38%に達する。図で1−5の間が直線なのは、吸気と排気の圧力損失を考えていないから、ポンピング・ロスを無いとして考えている。



サバテ・サイクルでは、現実のディーゼル・エンジンの作動に近い状態を表している(燃料噴射のタイミングを上死点前に行うので)。右の図は、圧縮比と理論的な熱効率を示している。k=1.4は空気のみを圧縮した場合で、理論混合比のガソリンとの混合気では比熱比が変わるので、燃焼前の混合気と後の燃焼ガスの平均値でK=1.27となる。ディーゼルの場合をK=1.3として考えてみても、ディーゼル・エンジンの理論的熱効率は60%にも達する。しかし、それはあくまでも理論値であり、現実ではガソリン・エンジンより圧縮比が高いのでエンジン内部で発生する摩擦ロスが大きく、回転が上がると圧縮損失が増えて効率は低下してしまう(ディーゼル・エンジンのトルクは大きいが、最大出力がガソリン・エンジンに敵わない理由)。その結果、熱効率は35〜38%に落ち着く。

ガソリン・エンジンでも圧縮比を高めて熱効率を上げたいのだが、あらかじめガソリンを混合した吸気を圧縮するのでノッキング等の異常燃焼を起こしやすい。それで、高オクタンのガソリンを使用しても、圧縮比の限界はレーシングカーで12程度。スポーツカーで11、実用車ではレギュラー仕様で9、ハイオク仕様で10が一般的である。

しかしながら、その値も吸入が100%されての状態だから、実走行での圧縮圧はかなり下がる。理由は、ディーゼル・エンジンと異なり、ガソリン・エンジンの出力コントロールはスロットルの開閉で行うので、ハーフ・スロットルでは抵抗となり、吸気の量が減少して圧縮圧は低くなる。エコランで、スロットルを開けて加速した後、アイドリングまたは、エンジン停止してニュートラル走行を繰り返すのは、ポンピング・ロス(特にスロットルでの吸気抵抗)を少なくすると共に、なるべく圧縮(正確には膨張比)を高くして熱効率を高める考慮しての事である。



上の図は、エンジンの回転数と共に変化するトルク、馬力と燃料消費率である。最大トルクが出る近辺は、吸気、排気抵抗が小さく(ポンピング・ロスが少ない)、吸気の
慣性過給が効き始めて充填効率も高くなり、燃効率の良い回転数である。これからすると、省エネ運転をするには、むやみに低いエンジン回転数で運転するのが良い結果を生むとは限らない事を意味している。



ポンピング・ロスとはなかなか実感できない損失抵抗(上図の1〜5の赤い部分が抵抗に逆らって排気を押し出すので正圧、青い部分は抵抗に逆らって吸入するので負圧となる)だが、意外と私たちは身近で利用している。エンジン・ブレーキはアクセルから足を離してスロットルを閉じ、スロットルの吸入抵抗を積極的に車速の減速に利用している。ディーゼル・エンジンにはスロットルがないので、エンジン・ブレーキは圧縮損失のみを利用する事になり効きが悪い。それで、排気側に開閉できる弁を用意し、閉じた時の排気抵抗で車速の減速を行う。その装置を排気ブレーキと呼んでいる。この事から、ポンピング・ロスは燃費改善には馬鹿にできないファクターである。吸気抵抗の小さなエア・フィルター(PASS FILTER等)を使う事で、ポンピング・ロスを低減する方法もある。

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次に熱勘定のデーターから、具体的な燃費改善対策を考えてみよう。

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排気損失(32%)

エネルギーを持った高温、高圧の排気ガスがエンジンから捨てられるので、この温度を下げる工夫をする。方法には幾つかあるが、エンジン設計の段階や改造でしか出来ない部分もある。当然、我々は簡単なケミカルでの対策を考える。

排気温度を下げる基本中の基本は圧縮を上げる事である。新品のエンジンでも、ガスケットの強度上の問題で圧縮漏れを20%は取っている。使い古したエンジンでは、シリンダとピストン・リングの磨耗によりさらに漏れが大きくなっており、排気温度も高くなっている。これは、圧縮圧低下の大きな原因で、大きなエネルギーロスになってくる。良質なエンジン・オイルの選定(決してブランドや価格では決まらない)と共に、エンジンオイルにテフロン系やボロン系固体潤滑剤を添加すると、狭い箇所で液体パッキン状になり圧縮漏れを防いで排気温度を下げる事ができる。

排気損失は非常に大きいので、排気温度を10%下げられればエンジン内部の摩擦損失をゼロにした位の省エネ効果が得られる。新車やコンディション 良いエンジンのマフラーから水が出るのは排気温度が低いからで、マフラー出口近辺では100℃以下になっている証拠だ。

ターボ・エンジンでは、フル・ブースト時の耐ノック性から圧縮比が高く取れない事情がある。それゆえ、排気温度が高くなる傾向があり、対策として過剰な燃料を噴射して燃料の気化潜熱を利用して冷却を行っている。本来、ターボは排気エネルギーを回収し、ポンピング・ロスを低減して燃費改善と言う錦の御旗を掲げて登場したが、この様な事情で燃費が悪い代表格だ。RAやGTーRがナトリウム封入バルブを排気側に採用したのは、高い排気温度対策だった。

排気温度上昇のもう一つの原因は、燃料の燃焼状態がある。高速で作動するエンジンでは、一瞬で燃えると思われる混合気とは言え、僅かだか時間が掛かる。それを見越して点火をピストン上死点前に行うが、それでも種々の原因で燃焼が遅れてしまう場合がある。ピストンが下がっても燃焼が続くと、高温の燃焼ガスが充分に膨張冷却できず、高温状態のまま勢い良く排気ガスとして捨てられてしまう。また、安いと思ってオクタン価の低い粗悪ガソリンを使うとノッキングが起こり、ノックセンサーが働いて点火時期を遅めてしまい、排気温度が高くなってしまう場合もあるから要注意だ(安物買いのゼニ失い)。

解決策として良質なガソリン(安売りガソリンは安物買いの銭失い、なるべく高いガソリンを選ぶと燃費は劇的に改善する)を選ぶか、燃焼速度を上げオクタン価を高める定評のあるガソリン添加剤を使用する。省エネ運転を心がければ、燃費が改善され元も取れるし、継続使用で燃焼室のカーボンも除去され、カニカルオクタン価が上がるオマケも付いてくる。

冷却損失(28%)

理論的にはエンジンの温度が高い方が、冷却で逃げるエネルギーが少ないので熱効率は上がる(セラミックス・エンジンの開発理由)。しかしながら、エンジンは燃料を燃やしているので、適度な冷却を行わないと吸気温度が上がり、体積が膨張して吸い込める空気量が減少して熱効率が低下してまう。また、燃焼室の温度上昇で異常燃焼が起きたり、エンジン・オイル耐熱温度を超えて焼きついてしまう。過熱を防ぐのは、熱効率を高めるのに大切だが、過剰な冷却をすると不完全燃焼が起きたり、せっかくの燃焼エネルギーが冷却水を経て捨てられ燃費悪化の原因となる。適切なエンジン温度を保つ事が省エネ運転には必要で、国産エンジンで80℃前後、欧州車で90℃前後が適切な水温とされている。

夏場の運転ですと、高い外気温によりエンジンの温度は上がり気味になり、異常燃焼や内燃機関の基本原理から来る理由(外気温度と燃焼温度の差を利用している)でエンジンの熱効率の低下が起こる。

対策としては、排気損失の対処方と同じだが、エンジン・オイル中のボロン系固体潤滑剤は熱伝導率が金属並みなので、オイルの熱伝導率を高めて冷却を助ける。また、冷却水にもボロン系パウダーを添加してオーバーヒートを防止するのも有効な手段。エンジンの熱効率アップは、燃費改善の基本条件だが、気温が低い冬には還ってオーバークール気味となり、燃焼エネルギーが冷却水に奪われる比率が高くなりすぎて燃費が悪化する場合がある。この様なケースにおいては、ラジエターの前面に被いするなど方法でエンジンを暖める事も必要。

機関本体の摩擦損失(数%前後)

エンジン内部の摩擦損失は、エンジン・オイルやオイル添加剤の広告でアピールされ、一番意識されているテーマではないだろうか。燃費改善の策が尽きた自動車メーカーは、エンジン・オイルの粘度を小さくして、エンジン内部の粘性抵抗を下げ、燃費改善の安易な方法を採用している(本当の理由は、寒冷始動時の排ガス規制クリアが本音)。燃料の持っている総エネルギー量から見ると、この摩擦損失は3〜4%程度(図示馬力からすると7%程度か)と微々たるものだが、エンジン寿命の観点からしても、また確実に燃費改善できる点から軽視できないテーマではある。先にも述べたが、時速40kmで走行している場合、この摩擦抵抗を20%減らせても走行抵抗分は変わらないので、燃費改善効果は半分の10%しか出来ない理屈となる(時速80kmでは走行抵抗が倍増するので、改善効果はさらにその半分か)。

エンジン内部の摩擦部分の多くは、流体潤滑域(水上スキーと同じ原理で、油膜に対するスピードで摩擦面が浮上する)である。これからすると、流体潤滑を維持するのには、摩擦面の相対速度が低すぎてはいけない。この観点からも、あまり低いエンジン回転数で走行すると、流体潤滑が維持できずに摩擦抵抗が大きくなってしまい、燃費が悪化する事も考えられる。先に述べた燃料消費率からしても、低すぎる回転数を常用するのは燃費を悪化させる場合がある(低回転の方がエンジンに負担が掛からないと思っているドライバーが多く、それに迎合した車作りをしている自動車メーカーもある)。勿論、回し過ぎも燃費を悪化させるのをお忘れなく。

エンジン内部の摩擦損失を低減するには、カムやメタル、ピストン上死点部の境界潤滑域での摩擦を減らし、流体潤滑域を充分に保持する事である。対策としては、テフロン系、ボロン系固体潤滑剤や境界潤滑域に優れた添加剤をエンジン・オイルに加える。

補機駆動の動力損失(数%前後)

エンジンには、オイルポンプやウォーターポンプ(これらが補機かどうかは別として)、パワステ・ポンプ、発電機、エアコン等のもろもろのエネルギーを喰う補機類が付いている。エアコンを作動させると燃費が急激に悪化するのが証拠の様に、これらにエネルギーが消費されるのは理解できる。しかしながら、これらは簡単な構造ゆえに効率を上げるのは難しい。パワステ・ポンプの耐久性を上げるのに境界潤滑域に向いている添加剤を加えると、摩擦抵抗も減はずなので省エネには若干だが効果が出る筈だ。

ヘッド・ライトを点灯すると、発電機の負荷が増えて燃費が悪化するのは精密な燃費計を装着していると判るが、夜間走行で無灯火で走る訳にはいかない。将来は、効率の良いLEDのヘッド・ライトとかが実用化されると効果が出るだろう。

放射損失(数%前後)

高温になるエンジンからは、放射熱でエネルギーが逃げていくが、黒体が一番熱を放射する(空冷エンジンで冷却フィンを黒く塗るのは、この黒体放射による冷却効果を狙っている)。チューニング・エンジンでは、ピカピカに磨いたヘッドカバーを見かける時があるが、理論的には放射損失は小さくなっている。すくなくとも、エンジンに黒い汚れを付着させないで、何時も綺麗にするのは意外と効果があるかもしれない。 当然の事、冷却損失と同じでオーバーヒートさせない事が一番大切だ。

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エンジン出力軸から、いよいよ駆動系へとエネルギーが伝わっていく!

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上段では燃料の燃焼エネルギーが種々の邪魔に遭いながら、どうやって出力軸にたどりつくか説明した。燃費を悪化させる要因は、これからまだまだ続く事になる。

エンジンが発生させた動力は、出力軸からは変速器へと伝わる。変速器は車速が変化しても、エンジンにとって効率の良い回転数を維持する為にある。電車や電気自動車に使われるモーターは特性上、停止状態から低速回転域でトルクが大きく、高回転になるとトルクが減少するという乗り物にとって都合の良いトルク特性を持っている。それ故に、クラッチや変速器が要らないのだ。それに引き換え、レシプロ・エンジンは停止状態では作動せず吸排気の関係から、中速回転域で最大トルクが発生する性質を持っている。従って、車速が変化しても常にトルクの大きなエンジン回転数を維持させないと上手く車体を加速できない。

そこで手っ取り早く考え出されたのが、大小比率の異なるギヤの組み合わせを何組が用意し、車速の変化に従って、エンジンの回転を一定範囲に収めながら車輪の回転数を上げていく手動式変速器だ。マニュアル・ミッションとも呼ばれるこのシステムは、ギヤの組み換えをする一瞬、出力軸との連結を断たねばならないので、クラッチと呼ばれる断続装置と共に使われる。

モータリゼーションの初期では、変速器と言えばマニュアル・ミッションが多かったが、車の保有台数の増加から渋滞による発進停止が頻繁になり、煩雑なギヤ・チェンジを嫌いオートマチック・ミッションが普及した。ATとも称されるこの自動変速器は、流体継ぎ手と呼ばれるオイルを満たした中にプロペラを対面させる装置で変速ショックを吸収する構造になっている。流体継ぎ手も改良が施されて、プロペラの受ける流体抵抗の変化を利用して、前述のモーター的特性も加味されたので、トルク・コンバーターとも言われるが、略してトルコンと言われる事が多い。

変速器はその複雑な構造上、伝達ロスを生じる。ギヤで言えば。一組のギヤの組み合わせの伝達効率が95%としても、もう一組繋がれば、95%X95%=90%にも低下してしまう。これがトルコンともなれば、内蔵される遊星歯車によるロスと、オイルの粘性抵抗による発熱ロスで80%以下になってしまう。高速走行でATをロック・アップするのは、このロスを低減して燃費を稼いでいるのだ。最近、日本が実用化したCVTも、かなりの摩擦熱の発生があるので、ロスは馬鹿にならない。

結論から言えば、燃費だけで考えればマニュアル・ミッション車を選ぶべきだ。マニュアル・ミッション車とAT車の燃費の差が15%〜20%程度あるのは歴然である。ガソリン・エンジンをディーゼル・エンジンに換えるより、ATをMTにすればその程度の改善効果を出すのは簡単だ。これだけ政府主導で温暖化防止が叫ばれているのに、マニュアル・ミッション車をお勧めしない「行政や自動車メーカーの考えは如何に」なんて、お宝鑑定団みたいなセリフになってしまう。

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